web会議 システムのメリット情報

バブルジェット記録技術の特徴は高密度、高精細、低コスト、小型であり、今後の記録方式のトレンドであるデジタル化、ネットワーク化、カラ−佑に非常にマッチした技術であることは間違いない。 それだけに社内の期待が大きいのも当然で、キヤノンではすでに、バブルジェット方式の二種類のカラ−プリンタと大判のカラ−複写機を商品化しているし、さらに一九九二年これなどは「技術的に他社よりも一歩先んじて、創業者利益を得る」という「キヤノン式商法」をもっとも顕著に表わした商品だろう。
事業の責任者である片山肇常務取締役(映像事務機事業本部長)も、メーカーもいないので、あの価格設定にした。 当社の商品のなかでは間違いなくナンバー-ワンで利益率の高い商品です」と豪語している。
いずれにしても、バブルジェットの応用範囲は広く、今後も複写機、ワープロ、ファクシミリなどのOA機器には当然のことながら、バーコード印刷、布へのプリントなど、広範な展開が期待される。 布へのプリントということ九三年(平成五年)一月に「コンピュータデザイン・パブルジェット捺染システム」を発表した。
これはキヤノンのバブルジェット技術、捺染インク技術と、鐘紡のデザイン技術、布処理・加工技術が結びついて共同開発されたものである。 スキャナで取り込んだデザインや、コンピュータを使って制作したデザインのデ−タをプリンタに送り込むことにより、四OOドット/インチ、二五六階調の高級プリントをオンラインでリアルタイムに生産するというものだ。
提携先の鐘紡このシステムでプリントしたネクタイやアパレル製品を「ワンダープリント」という商標で、すでにこの春からテスト販売を開始している。 九三年一月一九日、大田区にあるキヤノンの下丸子本社で新社屋の披露を兼ねた「技術展」が開催されたが、そこで驚藤取締役に話を聞く機会があった。
粛藤は派手なネクタイを指きしながら、こう語った。 色違いやパターンの拡大縮小などをただちにプリントできるので、サンプル制作や少量多品種でも経済的な生産が可能になる。

また、処理剤や染料の廃棄がほとんどありませんから、工場のクリーンな職場環境も実現できるのです。 また、パターンや色調をコンピュータでコントロールするわけですから、従来の捺染システムでは難しかったプリント工程の自動化につながり、省力化に大きく役立つはずです」機器がそれぞれ約三Oパーセントずつで構成比の上位を占め、以下、情報・通信機器、カメラ、光機、その他となっている。
この分類でいけばバブルジェットはコンピュータ周辺機器に含まれることになるが、時代の流れからいっても、これがもっとも成長の期待できる有望な事業分野なのである。 バブルジェットと同様、独自技術キヤノンが将来の大型商品として期待しているのが、による強誘電性液晶ディスプレイ(FLCD)である。
液晶は現在のところ、電卓や電子手帳、ワープロなどの表示に使われているが、さらにパソコンやワークステーションといった小型コンピュータのディスプレイとして利用されるだけでなく、各種の事務機、家庭用テレビなど、幅広い応用が考えられる。 液晶はきわめて有望な市場なのである。
キヤノンが液晶事業への参入を決めたのは、「ディスプレイは事務機業界にとって絶対に必要な技術になってくる」という認識からで、参入に際しては例によって「オリジナル技術」で勝負を賭けることにしたのだ。 もっとも、キヤノンが液晶ディスプレイの開発に着目したのは早く、すでに一九七O年薄膜トランジスタ(TFT)方式に取り組んでいたが、八五年(昭和六O年)噴からFL一方、シャープや東芝などが取り組んでいる液晶は、薄膜トランジスタ(TFT)方式で、画面のきめ細かきに関係する画素を、トランジスタを使って制御している。
画素数はディスプレイの大型化でどんどん増えており、一OO万画素のディスプレイも珍しくなくなっているが、問題は歩留まりである。 対応するトランジスタにひとつでも欠陥があると、全体が不良品となる。
各社とも歩留まりを上げるための量産技術の確立を急いでいるが、なかなか解決できないのが現状である。 そのためTFT方式はどうしてもコスト高となり、大画面化が難しい。
その点、キヤノンのFLC方式は、分子が光を透過する状態と透過しない状態の両方で安定するという「双方安定性(メモリー性)」の性質をもった液晶物質を使っており、信頼性が高い。 という優れた特徴をもっている。
に、パネル製造技術や高密度実装技術をはじめとする高度の生産技術、ハードおよびソフトのインターフェース技術などが要求される。 このため、キヤノンでは八六年(昭和六一年)から製品化を目的とした「Dタスク」というプロジェクトチ−ムを結成し、全社あげての集中化、重点化を行なってきた。
その成果が、九三年(平成五年)春に発売された日本語DTPシステム「キヤノンEZP」で、キヤノシの技術力を天下に示すことになった。 もうひとつ、将来有望な技術といえば、アモルファスシリコンによる太陽電池がある。
これも、もともとはキヤノンがもっている複写機の感光ドラムの経験を生かした技術で、七0年代後半から研究がスタートし、八0年代半ばから実用化に向けて開発がはじまった。 太陽電池が夢のクリーンエネルギーとして注目されてきたことはいうまでもないが、キヤノン九三年(平成五年)に低コストと高変換効率を可能にした独自技術のマイクロウエーブ法を完成、事業化の第一歩を踏み出している。

これをみてもわかるように、キヤノンの技術はいずれも一O年以上の潜伏期間を経て実用化されたものばかりなのである。 また、イギリスの、キヤノン・リサーチセンター・ヨーロッパ円錐型ミラ−に音を反射させて原音に忠実なステレオ音を広い音域で再生するという画期的なオーディオスピーカー、WIS(ワイド・イメージング・ステレオ)も開発されている。
これも新しいキヤノンの顔のひとつである。 下丸子の新本社社屋砂地上14階、地下E階、総床面積4900平方メートル。
現在の新宿本社も数部門を残して1993年B月にはこの本社に移転する。 新社長・M手洗車の最初の大きな決断がこの本社移転だった。
意表を突いた社長交代の真相とは一九九三年(平成五年)一月三O日、キヤノンはY路敬三社長が副会長になり、M手洗肇専務が新社長に昇格するというトップ人事を発表した。 戦後五代目の社長に就任したM手洗肇は一九三八年(昭和一三年)十月生まれの五四歳。
同社の社長、会長を四O年以上の長きにわたって務めた故M手洗毅の長男である。 このニュースを聞いて私はちょっと意外な感じがした。
M手洗肇専務が新社長になったことが意外だったのではない。 まさかY路社長がわずか二期四年で社長を辞めるとは思いもよらなかったのだ。

実際のところ、Y路は前社長のK来龍三郎の後を受けてよくやってきたと思う。 厳しい経営環境にもかかわらず、それなりに業績を伸ばし、これはという経営上の失敗はなかったはずだ。
ならば最低でも三期六年はやってもおかしくはなかった。 少なくとも私はそう思い込んでいたのである。
昨年の夏以来、私はこの本の執筆のためにK来龍三郎会長やY路社長をはじめとする三はできなかった。 言うまでもなく、社長人事は企業にとってトップシークレットに属する。

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